-
親知らずの治療
- wisdom tooth
親知らずとは?
親知らずは、20歳前後で生えてくる大臼歯を指し、第三大臼歯や智歯と呼ばれます。英語では大人になってから生えてくるためwisdom tooth(知恵の歯)と呼ぶそうです。親知らずは最後に生えてくる歯のためスペースができず、正しい位置や方向に生えない傾向が強いのが特徴です。
もし、親知らずによる腫れや痛みを繰り返している場合や、隣接する歯・歯並びに影響を与えそうな生え方をしている場合は、抜歯を検討する必要があります。
親知らずのトラブルの原因
真っすぐに生えていない親知らずを放置していると、歯磨きがしにくい状況となってしまい、歯周病(腫れ、痛み、出血)や虫歯を起こしやすくなります。
親知らずの歯周病(智歯周囲炎)は、放置していても症状は自然におさまるケースが多いです。しかし、見えない部分に歯石や細菌は残るため、軽度な痛みや違和感が定期的に起こり、時には強い痛みとなる可能性もあります。
虫歯の場合は、歯に穴が空いているため、ものが詰まりやすかったり、しみたりするのが特徴です。最初はしみる程度であっても、進行すると痛み止めも効かないような強い痛みになります。また、斜めに生えた親知らずは頬や舌の粘膜を傷付けやすく、口内炎の原因になりかねません。
その他、疲れや睡眠不足、風邪など体調が優れない場合は、免疫力の低下により親知らず周囲の歯肉も腫れ、痛みを起こしやすくなります。
治療の流れ
親知らずの当院での治療方法を紹介いたします。
- 【1】原因をみつける(診査・診断)
- 親知らずの腫れや痛みがなぜ起こっているのか、口の中の診察とX線検査で原因を追究。原因によって、治療法が異なります。
- 【2】患部の炎症を抑える(応急処置)
- 歯肉が腫れている場合は、消毒・洗浄と投薬(抗菌薬と消炎鎮痛剤の内服)で症状を抑えます。もしも腫れが強く、うんでいる場合は、切開してうみを出すケースも。
粘膜を傷付けている場合は、噛み合わせの調整を行います。大抵の場合は、3~5日で回復するでしょう。
- 【3】親知らず抜歯を検討します(インフォームドコンセント)
- 腫れや痛みが落ち着いたら今後の再発の可能性を踏まえ、抜歯の必要性を検討します。
抜歯の難易度、術後の起こりうる症状(腫れや痛み、出血、しびれなど)、治療費、抜歯時期などを丁寧にご説明。ご納得いただいてから、抜歯のご予約をおとりします。
- 【4】親知らずを抜歯します(治療)
- 歯科衛生士が抜歯前に口の中の清掃を実施します。局所麻酔がよく効いてから、口腔外科専門医が親知らずの抜歯を実行。
治療後、抗菌薬と消炎鎮痛剤をそれぞれ必要量だけ処方します。糸とりは約1週間後です。
症例紹介
親知らずを抜く時の医院の選び方
親知らずは、必ず抜かなければいけないわけではありません。患者様の中には正しい位置に生えてくる方もいらっしゃいますし、親知らずが他の歯に干渉しないことが認められれば、抜かずに様子を見るケースもあります。そこで重要となるのが正しい医院の選び方です。
親知らずの抜歯は難易度が患者様の状態によって異なり、虫歯の治療と違ってやってみなければどれだけ時間がかかるか分からない側面があります。そのため、経験・実績が豊富な歯科医院や大学病院、総合病院の口腔外科を受診するのがおすすめです。
親知らずの周りには、知覚神経や血管など重要な組織が存在します。抜歯の影響で後遺症を起こさないためにも、歯科医院を選ぶ際はしっかりと治療実績のある口腔外科専門医が望ましいでしょう。
親知らず抜歯受診前の6つの注意事項
親知らずの抜歯前には以下の6つのことに注意しましょう。
注意1. 常用薬の確認
普段から飲んでいる薬がある方はお知らせください。基本的にいつも通り内服してもらって構いませんが、薬の種類によっては内服を中断していただく場合もあります。
注意2. 抜歯の可否
抜歯当日に、腫れや痛みが強い場合は、炎症を落ち着かせるために延期したほうがよいケースがあります。もしも歯の状態が気になるようなら、事前にご連絡ください。
注意3. 飲酒と睡眠
抜歯前日は深酒を控えて十分な睡眠をとり、体調を整えましょう。
注意4. キャンセルについて
予約の変更やキャンセルは前日までのご連絡をお願いいたします。無断キャンセルは絶対におやめください。
注意5. 治療時間について
実際の治療時間はおよそ15分から30分です。顎の骨が硬い場合や、歯根の形態が複雑な場合は、1時間程度かかる場合もございます。基本的にご来院から会計までの時間は、治療時間+30分程度となるでしょう。
注意6. 妊娠中や持病をお持ちの方へ
妊娠中または妊娠している可能性のある方には、産婦人科の主治医に抜歯の可否をご相談ください。持病に不安があれば、当院より主治医宛てに照会状を作成いたします。
抜歯後の過ごし方
日常生活の6つの注意点
抜歯後の日常生活では、以下の6点に注意するようにしましょう。
麻酔の効き目について
抜歯にともない局所麻酔薬を使用します。麻酔薬は2~3時間程度効くため、抜歯直後から1時間程度は麻酔が効いた状態です。その間は皮膚の感覚が鈍くなっているため、唇や舌、頬を誤って噛まないようにしてください。また、熱い食べ物や飲み物も感じにくくなっているため、ヤケドに注意しましょう。
傷口について
抜歯後の傷口には血の塊ができるケースがあります。この血の塊は、治癒過程で必要なものです。抜歯当日や翌日に強い勢いでうがいや歯磨きをしてしまうと、血の塊がとれてしまうので注意しましょう。また、抜糸前に縫合糸が自然にとれてしまうことがありますが、こちらは問題ありません。
食事について
食事をする際は、刺激の強いものは避けるようにしましょう。また、咀嚼する場合は抜歯していないほうの歯で咀嚼するようにしてください。
出血について
歯科医院で止血を確認してから帰宅していただきます。しかし、帰宅後に出血するようでしたら、ガーゼやティッシュを丸めて30分程度噛んでください。出血量が多い場合は寝具を汚してしまう恐れがあるので、タオルを敷いて寝るようにしましょう。
飲酒・喫煙について
飲酒・喫煙は抜歯してから2~3日間は避けるようにしてください。
体温調節について
抜歯当日は身体を温めると痛みや腫れの原因となるので、シャワー程度にしてください。また、抜歯当日は激しい運動を避けるようにしましょう。
お薬について
患者様の状況に応じて、痛み止めや化膿止めのお薬を処方しますが、薬は指示された通りに服用してください。また、服用して異常が現れた場合は服用を中止して速やかなご連絡をよろしくお願いします。
腫れ・痛みについて
親知らずの抜歯をすると、人によって歯腫れや痛みが発生することも。腫れ・痛みのピークは一般的に抜歯後2~3日の間に訪れます。しかし、1週間程度で落ち着くので、痛み止めをうまく服用して痛みに対応するようにしましょう。もし、1週間以上腫れや痛みを感じる場合は、当院へご連絡ください。
抜歯当日は頬を冷やしても大丈夫です。ただし、血流が悪くなり治りが遅くなるため、翌日以降は冷やさないようにしましょう。
費用について
保険適用される親知らずの抜歯とは
痛みをともなう親知らずの抜歯は、基本的に健康保険が適用されます。ただし、矯正治療やインプラント治療・審美治療が目的となっている場合は、健康保険の適用外です。
一般的な親知らずの抜歯は、保険適用で3割負担となるため、検査費用を含めて3,000~5,000円程度となる場合が多くなります。しかし、検査の種類や親知らずの生え方・位置によっては費用が異なるため、注意するようにしてください。
費用
- 親知らずの治療
親知らずが正しい位置や正しい方向に生えていないと、汚れがたまりやすくなるものです。たまった汚れによって細菌が活発になると、歯茎の腫れや痛みが起きやすくなり、虫歯が発生しやすくなります。一方で、正しく歯磨きできていて、口腔内が清潔に保たれているようなら、抜歯する必要はありません。しかし、炎症が起きている場合は消炎処置をして炎症を抑えた後に、抜歯する必要があります。
費用:【保険適用】およそ4,000円~7,000円 ※難易度・検査によって費用は変わります。 - 難抜歯
当院では親知らず以外に、顎の神経や血管に近接しているような、難しい症例の抜歯にも対応しております。場合によっては、事前にCTを使って、歯の形態・位置・近接する神経の場所を把握する治療も実施。その他、お子様の永久歯が生えてこない場合の乳歯の抜歯や過剰歯の抜歯、矯正治療にともなう抜歯も対応中です。
費用:【保険】およそ2,000円~3,000円